Story 年齢や経験に関係なく、誰からでも学びは得られる。半年間を通して得たのは「人生の自分軸」

株式会社はぐくむ(以下、はぐくむ)では創業以来、自分と向き合い、生きたい人生を共につくる教育プログラム「LIFE DESIGN SCHOOL」を運営してきました。この記事では、過去に「LIFE DESIGN SCHOOL」に参加してくださった方のストーリーを紹介します。

今回インタビューしたのは、コンサルティング会社で起業家支援を行う會田幸男さん。大学を卒業後、メガバンクに就職した會田さん。「LIFE DESIGN SCHOOL」と出会ったのは、就職活動を始めた大学3年生の時でした。

「早く社会に出て働きたかった」という會田さんですが、就職活動をする中で、自分がやりたいことを見つけるより先に「受かるためのノウハウ」ばかりが溢れていることに違和感を抱いたそうです。

「“週5日は疲れたサラリーマン”にはなりたくない」。求めていたのは「受かるノウハウ」より「自分のやりたいこと」を見つめる時間

ー 現在のお仕事について教えてください。

現在は、大手コンサルティングファームのなかで社内ベンチャーとして立ち上がった組織で「挑戦する人とともに未来を拓く」をミッションに起業家支援を行う会社で働いています。僕がLIFE DESIGN SCHOOLに通っていた当時、自分の人生ややりたいことに向き合うなかで、「こうありたい」という想いを持っている人を支援することに魅力を感じているのだとわかりました。

最初は銀行に就職し、銀行業務を通してその想いを実現しようとしていたのですが、そのなかで気づいたことがあり、現在の会社に転職しました。

ー はぐくむと出会った時の状況について教えてください。

はぐくむと出会ったのは大学3年の夏で、当時は早いうちから就職活動に取り組んでいました。本当は高校を卒業したら社会に出て「早く稼ぎたい」と思っていたのですが、先生に説得されてしまって……。だから、大学を卒業して早く働きたかったんですけど、「何をして稼ぎたいか」は決まっていないというタイミングでした。

ただ、せっかく働くならワクワクすることがしたいと思っていました。僕は16歳からサーフィンを始めて、サーフィン仲間にはいろんな人がいました。大体30〜40歳くらいの人が多くて、職人の方やサーフショップの店員、名だたる大企業で働いている人など、様々な選択肢に触れる機会になりました。

そしていろんな社会人と関わるなかで、必ずしも仕事の楽しさは就職偏差値で決まるわけではないのだと学びました。また、仕事は「稼ぐため」と割り切って考える人もいましたが、僕の場合は、自分がワクワクするものでないと続けられないなと思っていました。

そして、就職活動をはじめて違和感を抱いたのは、「内定を取るための就活対策」がほとんどだということ。受かるためのテクニックとしての自己分析やエントリーシート対策を教えてくれる学生団体は数多くあるけれど、「自分が何をやりたいか?」を考える場はありませんでした。そんな時にmixiでLIFE DESIGN SCHOOLのイベントを知り、すぐにピンときました。

「実現したい未来」を机上の空論で終わらせない。行動することで、未来を手繰り寄せてきた

ー 卒業後、最初は銀行に就職されていますが、それはどのような想いからでしょうか?

LIFE DESIGN SCHOOLで体験した、過去の経験を深めるワークを通して出てきた想いですね。僕の祖父と父は、2人とも会社から独立して​​事業をやった経験をしましたが、その後は、会社員として働いています。事業を継続的に回していくためには資金周りをを抑えていくことが大事だと感じています。

そのためには、お金を出している銀行のロジックを理解しないといけないと考え、銀行に就職しようと決めました。あとは、資産運用や事業継承、相続などを幅広く学べたら、自分がやりたいと思っていること(「こうありたい」という想いを持っている人を支援すること)にもつながっていくだろうと考えました。

そして、この時クリアになった想いが、その後も僕が仕事を選択する際の軸になっています。

ー LIFE DESIGN SCHOOLに参加されて、「自分が何をやりたいか」がクリアになったということでしょうか?

そうですね。同期が十数人いたんですけど、そのなかの2人とLIFE DESIGN SCHOOLの内容を持ち帰り、ファミレスで語ったことが大きかったと思います。LIFE DESIGN SCHOOLでは、「自分がどうありたいのか」「何をやりたいのか」など毎週、異なるテーマがあって、クラスに参加した後にさらに深掘りしていろんな話をしました。

大学や地元の友達に話してもピンとこない内容だろうなと思うので、同じ場を共有してきた仲間と、共通言語をベースに話せるのはありがたかったです。

ー 転職を決めた背景には、どのような想いがありましたか?

銀行に就職して、最初は個人向けの支援を担当していました。富裕層の方が対象で、「これから新たに挑戦したい」というマインドの人は少なかったんです。僕は新しいことに挑戦している人に貢献したいという想いがありました。それができたら「最高」だなと。そして、「新しいことに挑戦している人はどんな人なのか?」と考えました。考えて辿り着いたのが、当時あった雑誌「ベンチャー通信」に載っていそうな人たちなのでは?というアイディアでした。

その後はすぐに転職をしたわけではなく、銀行内でIPOの支援ができる部署に異動願いを出しました。上場を目指している人はモチベーションが高いから、彼らにバリューを出せる仕事をしようと考えたんです。とはいえ、僕がIPO支援に携わってすぐに経営者の人たちの役に立てる自信がなく、夜間にMBAスクールに通って体系的に経営を学び、学びが深まった頃に異動願いを出しました。

ー まずは銀行内で異動願いを出されたのですね。その後はどのような経緯で転職されましたか?

僕は銀行のIPO支援を通して、その事業がどんな未来につながっていて、どんな人にどんな価値を与えられるのか、代表は何を目指しているのか?という話をもっと聞きたいと思いました。業務を通して代表やCFOの方とは話せるのですが、IPOに向けての議論が中心になります。そこから、資本政策など一部分を支援するのではなく、もっと事業の下地づくりの部分から携わりたいと考えるようになり、転職を決めました。

「あんなに緊張したことはない」。アウトプットを通して、実現したい未来が確固たる軸になった

ー はぐくむと関わるなかで、特に印象に残っているのはどのような出来事ですか?

LIFE DESIGN SCHOOに参加した半年間は、僕にとって、とても大事な時間になっています。すべてが印象的ではあるのですが、あえて1つ取り上げるとするなら、最後の発表の場ですね。自分の「ありたい姿」を、発表を観に来た30〜40人のオーディエンスの前でプレゼンするのですが、そんな経験は初めてでかなり緊張していたことを覚えています。

いまは業務内で登壇することもありますが、当時はそんな経験もないし、パワーポイントで資料をつくったのも初めてでした。自分がどうありたいのか、どう生きていきたいのかを発表して、聴いている人たちに応援してもらえるように伝える。とてもインパクトのある体験で、舞台に立っているときのオーディエンスの様子をいまでも覚えています。手が震えていて、あれほど緊張した場は他にはありません(笑)。

ー その経験を通じてご自身のなかで変化したことはありますか?

キャリアの選択の迷いがなくなりました。自分自身の実現したい未来を考えて、いまの仕事との乖離はないか、どう結びついていくか。実現したい未来とのギャップが出来れば転職するし、そうでないならなければ転職する必要がないなと。あの発表の場で語ったことがベースになり、いまもキャリアを選択する際の軸になっています。

あとは、現在の自分を俯瞰して振り返るきっかけになるので、いまでもはぐくむとの接点を大事にしています。LIFE DESIGN SCHOOLには自分とは異なる価値観や考え方を持ついろんな人がいて、彼らと接すると気づきや学びがあるんですよね。仕事中は事業部の副部長として、起業家支援という枠組みの中で物事を見がちになってしまいます。でも、はぐくむと関わることで、「起業家支援のなかで何がやりたいんだっけ?」「違う道があるとしたら、どんな選択肢があるだろう?」と、普段とは違った視点から考える機会が得られるんです。年齢や経験に関係なく、誰からでも学びは得られる。その考え方が自分のなかに根付いているのを感じています。

ー 最後に、今後仕事を通じて実現したい未来を教えてください。

いまは起業家支援を通じて、「実現したい未来に向かって想いを持っている人を支援すること」を実現しようとしています。起業家が事業を立ち上げる時にはいくつものフェーズがあって、シード・アーリーという立ち上げの初期にいる人から、もっと多くの人にサービスを届けるために上場に向かって準備を進めている起業家、もしくは新しい事業を作りたい人など、様々な人がいます。

そういった起業家の人たちに伴走すること、要所要所で私たちの支援を通じて支援することで、起業家に頼り続けてもらえる会社を創っていきたいという想いがあります。そこを突き詰めていくことが、実現したい未来に紐づく具体的な業務だと思って取り組んでいます。いまの会社でできることがあるうちは、とにかく起業家支援を軸にやり切りたいと思っています。

「編集後記に寄せて 〜小寺毅の視点〜」

ロバート(會田幸男さんのニックネーム)は、いつ会っても爽やかで明るい。会うたびに元気をもらう。それは彼が人生を真摯に生きているからだと思う。大学時代にLIFE DESIGN SCHOOLで定めた軸に沿って、ここまでブレずに真っ直ぐに生きている姿には、いつ会っても驚かされる。そして、そこまでロバートの人生の中で軸となっているものを共にLIFE DESIGN SCHOOLで育めたことが嬉しい。

なかなか見せることはないけれど、ロバートは努力の人である。LIFE DESIGN SCHOOL時代も、クラスの前後に、仲間ととことん語り合い、議論を交わし、そして実直に行動を積み重ねてきた。言うだけでやらない人を忌み嫌っていた記憶があるし、だからこそ、ロバートは誰よりも有言実行の人だった。

就職活動も内定のために行うのではなく、自分の実現したい未来に向けての活動として位置付けて、自分が何をしたいのか、どう生きていきたいかをとことん突き詰めていったからこそ、むやみやたらに数だけ増やすエントリーではなかった。そして、行きたい企業たちからロバートはしっかりと内定をいただいていた。(ロバートは決して偏差値がすごく高い大学出身ではないことも付け加えておく)

社会人になっても、仕事をしながら、MBAスクールに通い自己研鑽。その間、サーフィンも欠かすことなく続け、腕を上げてきている。努力を苦しいものとして見せず、いつも明るく朗らかなロバートの生き方は、人生に対する前向きなスタンスと、努力の積み重ねが実現したい未来を手繰り寄せていくんだということを証明してくれていると思う。

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